【質問】
65歳未満の成人へのインフルエンザワクチン接種の考え方と有効性・安全性について教えてください
【回答】
健康な65歳未満の成人では良好なワクチン効果が得れれますので、インフルエンザワクチン接種を受けることが推奨されます。流行株とワクチン株が一致した場合は、50-75%以上の予防効果が認められます。特にインフルエンザ流行シーズンに妊娠中、もしくは妊娠が予想される女性などには接種が推奨されます。また、流行地域への海外旅行前にも接種を検討します。副反応は多くの場合、軽微で、本ワクチンは安全性が高いといえます。
【質問】
妊娠を考えておられる方や妊婦・授乳婦がインフルエンザワクチンを接種する意義について教えてください。また、接種にあたって注意すべき点について教えてください。
【回答】
妊娠中の母体は胎児という一種の外来抗原を寛容するために、免疫機構に変化が起こり非妊娠時に比べて易感染性になります(胎児を自分のものではないと判断してしまうと拒絶反応が起きてしまいますが、それをそうしないようになっているのが免疫寛容と言います。つまり免疫力がある意味低下していることを表します)。さらに妊娠初期では悪阻による体力低下、中期以降は子宮の増大に伴う横隔膜の挙上と胸郭の側方への拡大、1回換気量の増加、必要酸素量の増加による肺への負荷、循環血漿量の増大による心臓への負荷が加わり、心肺機能の低下が示唆あれております。このことより、妊婦のインフルエンザ感染症は重症化する傾向にあり、積極的なワクチン接種が世界的に勧められています。
Q:ワクチン接種後避妊すべき?
A:避妊する必要はありません。
Q:妊娠何週目から接種できる?
A:いつでもOK
Q:妊娠何週目まで接種できる?
A:妊娠週数は特に問いません。
Q:産後すぐに接種可能?
A:可能です。
Q:授乳婦への接種で乳児に免疫は移行する?
A:母乳を介してはあまり期待できない。
Q:妊婦への接種で胎児に免疫は移行する?
A:臍帯を介した免疫移行は期待できます。
【質問】
帯状疱疹などの罹患後のインフルエンザワクチン接種時期、効果、注意点などについて教えてください。また、家族や周囲の人が罹患した場合は、どのように対応したらよいでしょうか?
【回答】
罹患した疾患が軽症なら、症状が回復すれば接種できます。中等症なら、治癒後2週間くらいが目安です。重症疾患、たとえば麻しん罹患後、しばらくは免疫能が低下するため、それが回復する4週間後以降に接種するほうが効果は確実です。
帯状疱疹は、宿主免疫を低下させる基礎疾患や投薬に注意する必要がありますが、急性期を過ぎ治癒に向かえば、接種は可能と考えます。緑内障や高血圧症など宿主の免疫能に直接影響しない基礎疾患については、病状が安定していれば接種可能です。
家族や周囲の人が罹患した場合は、疾患の種類や流行状況に応じて対応します。また、疾患に続発する合併症がたまたまワクチン接種後に偶発的に出現すると、思わぬ誤解のもとになるおそれがあることには、ちゅうしておくほうがよいでしょう。
【質問】
B型肝炎ワクチン、肺炎球菌ワクチンなど、他のワクチンとの接種間隔はどのように考えたらよいのでしょうか? また同時接種について教えてください。
【回答】
不活化ワクチンと生ワクチンの接種間隔に関する規定をまとめると、図のようになります。我が国では、従来は間隔をあけて1種類ずつ接種することが一般的でしたが、海外では広く行われている同時接種が普及しつつあります。